従来の耐スリ傷クリヤー・所謂、自己修復塗装の研磨料金
本協会JCAでは会員の強化講習として「教務SGM技能監督官」の育成を行っています。
その講習内や、金子講師のオンライン勉強会で最新情報をご教授頂いております中から少しだけ共有させて頂きます。
2024年現在、自動車の塗膜を大まかに3つに分け、その機能からそれぞれの研磨料金について考察していきます。
各塗膜の詳細や特徴記載は割愛させて頂きます。
一般的な塗膜
オリジナル塗膜に当てたペーパーの番手を傷に見立てて説明します。
例:800番程度の傷であれば容易に研磨作業が可能であるため、いかに早く綺麗に作業できるかがポイントに。
ただし、時代の物価や人件費等に沿った価格変更は必要と考えます。
※「工程の違い」で参考の工程数を記載
※同じ面積を研磨作業して、同じレベルの仕上がりになったと言う、客観的な評価方法が無いと料金の見直しは困難。
JCAの研磨検証プログラムをご活用ください

従来の耐スリ傷クリヤー
1500番程度の傷でも塗りたての「キレイ」まで磨ける技術者が少ない。
この主たる原因は、クリヤーに、傷に対する耐性が塗膜にあるため、一般的な塗膜を研磨作業する時と比べより研磨力のある方法を用いなければならないため。
簡単に言い換えると、一般的な塗膜研磨より難易度も高く時間もかかるということです。
※同じ面積を研磨作業して、同じレベルの仕上がりになったと言う、客観的な評価方法が無いと料金の見直しは困難。
出来ていると勘違いしている方も多く見られます。
所謂、自己修復塗装

こちらの塗膜も従来の耐スリ傷クリヤーを研磨する難易度UPに、復元できない深さの傷がついた場合は、その傷を復元する力が加わるため、作業時間も更に増えます。
ゆえに、JCAでは一般的な塗膜研磨に要する料金を軸に、
従来の耐スリ傷クリヤー・所謂、自己修復塗膜の研磨作業については、塗膜状態により、約1.3倍〜の料金割り増しを検討するよう準備する必要があると考えます。
工程の違い
日産エクストレイルの実車、ボンネット部分に800番のペーパー目を入れます。

一般的な塗膜の場合は、2工程で仕上がります。(塗りたての艶により近い状態まで)
しかし、自己修復塗膜の場合は業務用シングルポリッシャーの研磨力に匹敵する機材を用いる必要があるため、最低でも1工程増えてしまいます。

さらに、気をつけなければならない点として、自分で付けたバフ目(傷)あたかも形状記憶されるように、熱を加えることでそのまま自己修復することです。

画像のようにヒートガンを用いて熱した後、ペーパー目が確認出来ない状態、かつ自分が付けたバフ目だけになっていれば1工程目の研磨作業は「正解」ということになります。
JCAが推奨する機材及びコンパウンド・バフを用いる事で、3工程で仕上がります。(塗りたての艶により近い状態まで)
※800番のペーパー目を消すための1工程目で深い傷を残してしまうと工程数は増えます。
以上のことからも、塗膜種別による研磨料金の見直しを業界の皆様にお勧め致します。
最後に、一般的な鈑金塗装店では、事故修理が発生した場合、従来の耐スリ傷クリヤーや、所謂自己修復塗装の該当車両であっても、磨きにくさもあって、この塗装を嫌われるところもあるようです。